私の主人は、4月に入ってすぐに出張先で急逝しました。「帰ったら、家族で姫路城の桜を見に行こうか」と最後の電話で話をしていました。
葬儀の日、主人の乗った寝台車が公園の前で信号待ちをしている時、桜が満開だったはずなのに覚えていません。
その翌年は、色々しんどいことが続いていて花を見る余裕もなく、気が付いたら散っていました。
3年後の今日、たまたま同じ場所で信号待ちをしている時にその公園の満開の桜が目に飛び込んできて、突然その時の主人の声や会話を思い出しました。「ああそういや花見の約束、うちとしたやん」と。
たぶん主人も花に浮かれてきたんでしょう。思わず「たぶんそばにおるな?ラッキー憑いてる憑いてる」と嬉しくて笑ってしまいました。ほんなら約束果たしてもらいましょかと車を公園に止め少しだけ一人でぶらぶらとお花見をしました。
家族との賑やかなお花見は叶わなくなったけれど、今こんなに穏やかな気持ちで桜を見ることが出来るようになったかと、時薬のすごさを実感しました。5年後10年後も変わらずにこんな気持ちで桜を見ることが出来たら有難いな。
来年は、家族で集まって賑やかにお花見します。
今日はとびきり良いお酒をお供したし、帰る前に私の夢に寄ってもろて、ほろ酔いの軽いお口で社用スマホのパスワードをバラしてくれないかな。